この記事のタイトルをご覧になった方は「ソーシャルセンタードデザイン」ってなに??とお思いのことと思います。
ソーシャルセンタードデザインプロジェクト(略してSCD-PJ)概要については引用します。
「ベースにしているのはHCD(ヒューマンセンタードデザイン)で、文字通り人間(製品なら使い手、サービスなら利用者)を中心にモノやコトをデザインしようという考え方である。「使い手のことを考えて」なんて当たり前のようだが、実際はそうでないモノって案外多いのだ。たとえば機械の都合で作られていて使いにくい道具とか、作り手の発想で書かれていて理解できない説明書とか。それで今までは、たとえば手の大きさにあわせてレバーをデザインしたり、見る人の視覚や認知特性に応じた見やすいWebサイトをデザインしたり、というようなことをしてきたわけだが、ソーシャルセンタードデザインでは、使い手だけでなく、社会のことも考えましょう、というもの」だそうです。
引用元:EcoWorkstyle.com「ソーシャルセンタードデザインってなんだ?」http://ecoworkstyle.com/journal/whats-scd/
というように、社会×デザインというような視点で新たな価値を見出していこうとする企画です。
元々、このプロジェクトに参加することになった経緯は、道志村が「やまなし水源地ブランド推進協議会」に加盟しているところからです。
やまなし水源地ブランド推進協議会は、山梨県早川町・丹波山村・道志村の都市部の水源地、公益財団法人オイスカ、株式会社イトーキをはじめとする組織で構成され、産官民が集うことで、水源地の森林問題を解決していこうとするものです。
今や水源地である3町村の森林は、間伐の進まない崩壊した人工林や林業の担い手不足、森林資源を使った外部への情報発信の手法などに、いくつもの課題を抱えています。
そこに企業や民間組織が加わって、水源地の資源を「やまなし水源地ブランド」として魅力ある商品開発、発信により地域の活性化や森林の保護を目指しています。
水源地ブランドのパンフレット
前置きが長くなりましたが、今回は水源地のひとつ、山梨県早川町を1泊2日で見て回りました!
早川町は人口約1200人、日本で最も人口の少ない町です。
しかし、「人口の少ない」というのを悲観せず、今は日本一ということで逆手にとってアピールしているそうです!
道志村と同じように町の約96%が森林・山地であり、北岳や南アルプス連峰に囲まれた自然豊かな町です。
ただ写真で見ていただくとわかるように、急傾斜な山が多いため土砂災害を頻発しているそうです。
これは森林が危機的状況にあることを物語っています。
早川町といえば清流 早川です!
透き通った水は、水源地であることをより実感させてくれます。
夏はぜひ泳ぎたい川です!
町内の施設などを巡りました!
野鳥観察や自然観察のツアー施設や地場産品の集まる直売所、小学校を改装した温泉施設などなど、盛りだくさんでした。
早川町を巡ってみて感じたのは、道志村と同じく早川町の資源も豊かな自然。
早川町ではこれを活用しない手はない!と様々なエコツアーが用意されています。
近年都市部を中心に環境に対する関心が高まっているだけに、需要と供給がマッチした取り組みとなっています。
個人的にとても気になったのは、「猟師さんと森を歩く!早川ジビエツアー」でした!
普段はなかなか会うことのない猟師さんと森を歩けるなんてすごい!
きっと動物のあれこれを教えていただけるのだと思います。
ツアー後にはジビエ料理もあるそうですよ!
ある施設では早川町の伝統野菜を知ることができました。
その名は「茂倉うり」。ほかの地域ではうまく育たないというから不思議。
一般的なキュウリに比べ、短くてずんぐりしているそうです。
そしてそして、早川町の名物ともいえる「赤沢宿」の町並みを見に行きました。
昔から信仰があった身延山久遠寺。山岳信仰の霊場であった七面山。
その間を結ぶように位置するのが赤沢宿です。
遡ること江戸時代。江戸では「講」は盛んになり、代表的な富士講をはじめ、身延講による山岳の霊場めぐりが盛んだったそうです。
身延講で身延山を訪れた人は、そこから赤沢宿に下り、休んだあと反対側に位置する七面山へと巡礼していたといいます。
そのため、赤沢宿は「講中宿」と呼ばれるそうです。
江戸時代から続く歴史が守られていました。
石畳がなんともいい風景をつくっていました!
趣のある建物です。
今も宿として使われているところもあるそうです。
屋根の下に見える木の札は講中板(マネギ板)です。
各地から講で訪れる人の名前が書かれているそうです。
講中板(マネギ板)です。
よく見ると地域の名前まで書いてありました!
こうして景観に見とれて癒されながら宿場町を進んでいくと、なんとこんな粋な計らいが!!
沢から引いているを思われるきれいな水のなかに、ミニトマトが浮き沈みしていました。
その横の看板には「御自由にお召し上がりください」の文字が!
お言葉に甘えてトマトをいただくと、よく冷えていておいしかったです!
こういうものはなんだか無性に魅かれます。
木を彫った水桶もまたすばらしい!
宿場町の散策もいよいよ最後。
行き着いた先には期間限定で書道展がおこなわれていました。
う〜ん、なんとも芸術は奥が深い。
そう思うような様々な書道の表現がありました。
またこの会場となっている家が古民家で居心地よかったです!
ひとりで住むには持て余すけど、こんな家に住んでみたい〜
こうしてSCD-PJの早川町での視察を終えました。
やっぱり違う地域を見ることでたくさんの発見や共感があり、それらすべては道志村に活かせることだなぁと思いました。
早川町の地元の方とたくさんお話できたのも大きな収穫でした。
今回早川町を見て、山間地は山間地なりの生き方でこれまで生きてきたのだと思いました。
そしてこれからは・・・と考えたとき、それもまた山間地なりに生きていくはずです。
よく田舎の方が当たり前だと思っていることが、都市部の人にとってはとても新鮮な経験であったりします。
つまり山間地なりの生き方は、見る人によればとっても魅力的な生き方なのだと思います。
それは田舎の方が都会に憧れるようなことにもいえます。
そんなないものねだり、灯台下暗しのようなところにこそ、今後地域がより元気になる種が隠れているのかなと改めて思いました。
実際に自分も、道志村にとっては当たり前な生き方に魅かれてきたわけですし!
みなさんもぜひ早川町へ行ってみてください!(もちろん道志村にも!)
文:なかじま[早川町では「田舎あるある」(特産品が味噌など)がたくさんありました!]
コメントをお書きください