しょうゆ搾り器を復刻します!!

なかじまです!

 

これまで何度か道志村でのしょうゆづくりについてご紹介してきました。

 

そもそもしょうゆは、大豆・麦・塩でもろみ(しょうゆ味噌)を仕込み、約2年発酵させ、搾ったものがよく目にするしょうゆになります。

 

道志村では10数年前まで村のあちこちでしょうゆがつくられていたといいます。

しょうゆにまつわるエピソードが数多く残ります。

 

そんなしょうゆづくりのはかかせないのが、[しょうゆ搾り器]です。

高さ1メートル、奥行き90センチほどの木製の箱で、リフトアップに使われるジャッキを利用したシンプルな構造、使用方法です。

 

現在道志村に残っているしょうゆ搾り器

 

ご覧の通り、道志村に現存するしょうゆ搾り器はすでにつくられてからかなりの時間が経過しており、ひび割れなどの劣化が目立っていました。

現在はしょうゆづくりもほとんどおこなわれていない道志村ですが、搾り機器が壊れてしまったらつくれるしょうゆもつくれません!

 

それなら搾り器をつくり直そう!と思いたち、木工房を営む職人さんを先生に、しょうゆ搾り器の復刻に挑戦しました!

 

 

・・・と意気込んだはいいが、まず何をしたらいいやら。

設計図がない分、一からはじめなければなりません。

まずは現存の搾り器を採寸しました。

 

搾り器にはすのこや落としぶたのようなものがセットになっています。

これらの道具もつくり直します。

箱の内部は竹が打ち付けられ、しょうゆが下に流れやすいようになっています。

 

 

採寸を終えて、やっと木材を注文しました。

村内にある木工所で、道志産の杉材を使うことにしました!

こうしてみると、案外たくさんの木材が必要なことにびっくり!

 

材料が届いたら最初の工程、木材を必要な部位ごとにおおまかな寸法をとって墨つけ(マーキング)をします。

このとき、材料の節の場所や曲がり、ひび割れ、キズを避けた寸法取りが大切とのこと。

ここでいいかげんな扱いをすると、後々苦労する・・・

そのことを頭に入れながら作業しました。

 

マーキングのあとはいよいよ材の裁断!

切ってしまったらもう元に戻せない。慎重にサイズを確認しながら丸ノコをすべらせます。

 

裁断した材料がそろったら、しょうゆ搾り器の土台になる角材に印をつけます。

この印をもとにホゾ(みぞ)を彫ります。

ホゾ彫りのための墨つけ(マーキング)は鉛筆の線では太すぎて誤差が出るとのことで、シラカキという道具をつかいます。

まさにカッターで材にキズをつけていくようなもの。

繊細な作業です。

 

同じ協力隊の香西さん(編集長)も助っ人できてくれました!

[香西さんは季刊誌 道志手帖の編集長であるためそう呼んでます 笑]

ひたすらに墨つけをやっています。

 

私なかじまは、おおまかに丸ノコで裁断した材料を正確な寸法で仕上げる作業です。

機械は本当に便利で、人が寸法をとったサイズにスパッと裁断できます。

ここで材料の長さが確実に決まるので、より神経質になりました。そのため作業は遅れ気味に・・・

 

なんとか裁断を終えたあとは、ケビキといわれる道具(写真 下)の登場です。

人差し指と中指で挟んで持ち、刃をスライドさせて印となるキズをつけます。

板の側面などにみぞを彫るための印づけです。

力みすぎると線が曲がったりします・・・

適度な力加減が必要でした。

 

印をつけたところをルーターという機械で彫っていきます。

できあがったみぞがこれ!

すばらしくきれいなみぞになりました。

今度はみぞにボンドを塗り、サネといわれる板を挟んで大きな板同士を接合します。

サネを挟んだ状態が下の写真です。

こうすることで、板の隙間から水漏れを防ぐことができます。

しょうゆが漏れたら意味がない。搾り器製作の上では大事な工程です。

 

板を接合して、隙間を詰めるようにクランプで挟みます。

板の反り具合や、力のかかり方をみてクランプの位置を微調整します。

 

そのほか、墨つけしたホゾを彫ったり、

接合した板を組み立てて、箱の形ができてきました!

 

箱型の仕上げは底板です。

ここはしょうゆが溜まって流れ出ていく大事な部分。

まずはみぞ彫りの便利道具、ルーターで底板にしょうゆの流れ道を彫ります。

 

できあがりはこんな感じです。

搾り出されたしょうゆはここを通って流れる予定です〜

ヤスリをかけて磨きました。

箱型と接合!

 

同時に、搾り器の箱型が乗っかる土台も完成!

9センチの角材でしっかりした構造です。

 

土台と箱型を合わせます。

う〜ん、いい感じ!

正面からみると搾り器の雰囲気が出てます!

 

完成までラストスパート!

すのこ、落としぶたの小物をつくります。

なかなか平行をとったり、均等な幅を保つのには苦労しました。

しかし、やり方や流れがつかめればサクッと作業が進みます。

頭をやわらかくして手を動かすことが大事だと強く思いました。

 

編集長も慣れないながら、釘打ちしてくれました。

すごく集中している様子〜

 

いよいよ待ちに待った完成!!

搾り器の左右に鉄棒を通し、上下に角材を固定しました。

ジャッキを使うことで、この鉄棒と角材が踏ん張ってしょうゆが搾り出されます。

 

いや〜立派!立派!

自画自賛のようですが、すばらしい搾り器が完成しました!!!

ちなみにしょうゆ搾りをおこなうときは、このようにして使います。

 

冒頭に載せた現存のしょうゆ搾り器と比べても、引けをとらないのではないでしょうか!

 

 

搾り器」をつくろうと思いたち、試行錯誤のなかやっと完成までくることができました。

もちろん、私ひとりでの製作はできなかったでしょうし、現存の搾り器がなければ復刻させることもできませんでした。

 

多大な木工職人さんのご協力と、道志村のしょうゆとの縁に感謝です。

ありがとうございました!

 

 

今後このしょうゆ搾り器は、村内でもろみ(しょうゆ味噌)を搾る際に貸し出すようにしたいと思います。

搾り器が復刻されたことで少しでも「まだ道志村ではしょうゆがつくれるんだ!」という気持ちが高まればと願います。

 

私自身もこれからもろみを仕込み、約2年後にはこの搾り器で手づくりしょうゆを搾り出したいです!

 

ひとつものが形になることでとってもうれしい気持ちになったしょうゆ搾り器の製作でした!

 

 

 

 

 

文:なかじま[搾り器の製作中は毎日髪の毛に木のカスがたまっていました・・・(;゚Д゚)]

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コメント: 4
  • #1

    しょうく (木曜日, 10 10月 2013 17:02)

    細かい木工頑張りましたね。
    醤油ができる日を楽しみにしてます。

  • #2

    なかじま (日曜日, 13 10月 2013 22:21)

    しょうくさん
    いつもありがとうございます!
    醤油ができあがった際にはぜひまた道志へお越しください!

  • #3

    加藤宏康 (木曜日, 21 2月 2019 15:55)

    初めまして。
    加藤と言います。
    自分で醤油を仕込みまして色々調べるうちに船という物を知り船を再現してみたくなりました。
    しかし船じたい見た事もなく寸法も何にも分かりません…
    図々しいのですが設計図など教えて頂けませんか?

  • #4

    原 大洋 (月曜日, 29 5月 2023 17:55)

    はじめまして。
    私は埼玉県の毛呂山町というところに住んでおり、わが町でも醤油つくりをしているのですが、皆さんと同様に槽がかなり古く直す必要があります。
    そこでお尋ねですが、新たに作るにあたりいくら位お金が掛かったのでしょうか?